ゲイでノンセクシャル~人生の雨宿り~

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法律の効果

 みなさんは「法律」にどのようなイメージがありますか?

法律は絶対、法律は堅苦しい、法律は難しい、色んなイメージがあると

思います。そんな法律をちょっと違った目線で見てみましょう。

「取り締まる」

 まず、法律と言えば「取り締まる」です。人を殺したらダメ、

ものを盗んだらダメ、人の家に勝手に入ってはダメ、どれも

当たり前のように思えますが、全部法律が決めているのです。

 でも、どうして人を殺してはいけないのでしょうか?

だって法律を扱う裁判所ですら、死刑判決を下したり、国家の組織である

警察が射殺を行ったりするんですよ。なのに一般人の私たちの殺人はダメで、

国の組織がいいのは不公平じゃないか!そう思う人もいると思います。

 実は法律が内容を決めているのではなく、内容が法律を作ったのです。

日常生活の中で、人を殺してしまうと、殺された人は生きる権利を奪われ、

その遺族は多大なる精神的な傷を受けてしまう、だから人を殺してはいけないよね

という暗黙のルールができたんです。(これを不文法、慣習法と言います)

でも、「人を殺す」場合にも様々な場合があります。すぐに思いつくだけでも、

刃物で切り付ける、殴りかかる、水に沈める、毒を盛る、色んなケースが

ありますね。(なんだか物騒……)

 そのため、「人を殺した」という行為に対して刑罰が揺らいでしまう恐れが

あります。刃物で切りつけたけど子供だから仕方ない、男が殴り掛かったん

だから死刑で当然だ、こんな風に裁判官の気分で刑が変わってしまうのでは、

たまったものではないでしょう。

 しかし、かつて国王が国を支配していた時代は、王の機嫌で刑が変わるなんて

当たり前だったのです。しかし、市民革命によって自由を得た民衆は、

気に食わないから死刑、のような理不尽な判断をされなくて済むように

どういう時に、どのような法律で、どのような刑罰を受ける、ということを

事前に定めたのです。

 これが「罪刑法定主義」と呼ばれる法律の基本原則の1つです。

刑罰を科す場合には、事前に法律で定める必要があるというものです。

 日本国憲法第31条

「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、

又はその他の刑罰を科せられない。」が法源(法律の根拠)

 

そのため、死刑制度や射殺(日本ではあまり聞きませんが)は法律の手続きに

従っているため、許される行為ということになります。

抑止力

 罪刑法定主義に基づき、事前に法律を掲げることにはいくつか効果があります。

その1つが抑止力です。

 町中によく、「違法駐車した場合は罰金5万を要求します」みたいな

看板を見ませんか?

また映画館に行くと「録画、撮影する行為は法律で禁止されています」という

カメラ男の予告映像が必ず流れますよね。

 これらは法律の抑止力を期待した行動です。法律で禁止されている、

違反したらこうなると提示することで事前に犯罪を防ぐ効果があります。

全ての犯罪を取り締まるのは大変なので、犯罪事態を防止するために、

法律を使い、もし相手が違反したら提示した通りの刑罰を下せばいいので、

とても手続きが簡略化できますね。

 ちなみに、「法律を知らなかった」というのが罪を逃れる口実には

ならないことは有名ですが、「この行為が犯罪になるとは知らなかった」

というのが、実は罪を逃れる口実になるというのはあまり知られていません。

 看板や張り紙を出すことで、「この行為が犯罪です」と知らせることが

出来るので、看板や張り紙を見なかった相手が悪いと主張できるようになります。

そうすれば、相手に言い逃れされる確率を減らせるので、看板や張り紙は

かなり効果があると言えます。

意見の提示

 また、法律には国の考えを提示する効果もあります。

そもそも法律は、国会によって制定されます。そのため、

法律は国会の意見を反映させたものなんです。

 例えば、性同一性障害特例法が2003年に制定されました。

(正式には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」……長っ!)

これはある一定の基準を満たせば戸籍上でも、性別を変えられるよ、

という趣旨の法律ですが、この法律が制定されたことで、国自身が、

性同一性障害の方の存在を認め、さらに特別な配慮をすることを約束した、

という意思表示の表れでもあるんです。

 他にも成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられたのも、

今までは20歳を成人としていたけれど、これからは18歳から成人つまり大人の

仲間入りをしたと見なしますよ、という意見の変化によるものだと思います。

 このように、そういうものだと「見なして」、そうであると言い切ることを

法律用語で「擬制」と言います。だって20歳になった途端いきなり大人になる

わけがないですよね。そのため、20歳ならもう大人になっているだろうと

「擬制」をするんです。擬制は国家の意思表示の典型的な例なんです。

法律の効果

 法律には色んな効果がありますが、法律が必ずしも正しいとは限りません。

民法の世界では、法律に定められていることよりも、契約したことのほうが

優先するという原則があります。

 例えば、お店に行って何かを買うとします。本来ならお店側が

提示した価格を支払って商品を買うでしょう。でも、値引きを交渉して

お店の人がOKと言えばその値段で買えてしまいますよね。

それぐらい交渉ならびに契約というのは効力があるんです。

多くの場合、なにかあったときのために契約書を作りますが、

本来は口約束でも立派な契約であり、しっかりと効力があります。

(口約束のことを法律の世界では諾成契約と言います。「契約」です)

 また、法律を提示することが必ずしも犯罪を減らすわけではありません。

コンビニやスーパーのトイレには、「汚さないでください」ではなく

「いつもきれいに使っていただきありがとうございます」と書かれて

いますよね。法律は、読むのも疲れますしどうしても堅苦しく、高圧的な

印象を与えます。

 そのため、「自転車を止めないでください」ではなく、

「ここに止めてある自転車はご自由にお使いください」という張り紙を

した方が効果があるのかもしれません。

この記事を読んで少しでも法律を身近に感じてもらえると嬉しいです。