ゲイでノンセクシャル~人生の雨宿り~

雨ばかりの人生に、雨宿りができる場所を作りたい

ブロマンスとノンセクシャル

 皆さんは「ブロマンス」という言葉を知っていますか?

日本ではあまりなじみがない言葉ですが、海外ではわりと浸透している言葉で

「brother+romance」のカバン語(いわゆる合成語)で、男性同士の深い友情

指す言葉です。分かりやすく言い換えると、「いくぜ相棒!」とか

「俺らは最高のタッグだぜ」みたいなやつですね。

 アニメや漫画、映画など様々な場面で男同士の友情が描かれています。

(あんまり映画やサブカルに詳しくないので具体例が出てきません……すみません)

またお笑い芸人のコンビ愛みたいなのもブロマンスに含まれるでしょう。

(ちなみにサンドウィッチマンが好きです。面白いですよね)

 このブロマンスですが、よく似ているBL(ボーイズラブ)とは違って、

あくまで友情の範囲内です。性的な行為はもちろん、恋愛感情もありません。

ただ、恋人かと間違われるほどの固い絆がそこに存在する、それがブロマンスです。

(BLについては以下の記事で)

www.life-amayadori.com

 不思議なことに、BLとは違ってブロマンスはかなり幅広く支持されています。

 いくつか理由は考えられると思いますが、僕が考えるには、ブロマンスという関係が

男性同士のホモソーシャルの中での理想のロールモデルとなり得る点、性的な関係を

一切含まない爽やかさや純粋さみたいなものがあるから、ゲイではないという前提が

あることで、ホモフォビアを含まない点が考えられます。

(用語の解説は以下の記事でどうぞ)

www.life-amayadori.com

 一つずつ説明していくと、ブロマンスというのはやっぱり真の友情であり、

誰しも憧れるものですよね。そんな気があう親友を欲しいという気持ちがあれば、

登場人物に自分自身、もしくは仲がいい友人を無意識に投射するかもしれません。

 人は自分と同じ性別、似たような性格もしくは憧れている性格の人に感情移入、

自己投射をしやすいとされています。ヒーローのアニメを見ているときは、

自分もヒーローになったつもりになりますし、主人公が泣いていると、

自分も悲しくなってきますよね。

 また、ヘテロの男性(異性愛者のことです)の場合、女性に好意を向けて、

ゲイから好意を向けられる可能性があります。その反面、ヘテロの男性同士というのは

一切恋愛というものに接点がないんです。

 以下の記事にも触れていますが、恋愛というものには様々な要素があり、

「相手が好き」だけでは済ませることができない面倒な関係性でもあります。

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 その点ヘテロの男性同士というのは、その苦労を分かり合えるライバルでもあり、

恋愛に縛られない純粋な絆によってしか繋がらない運命の相手でもあります。

実際はそうとも言えないような気もしますが、フィリアといういわゆる「友愛」

こそが最も素晴らしいと考えられていた時代もあったぐらいです。

(ちなみにアリストテレスが提唱していたので、古代ギリシャの時代ですね)

 だからこそ、この関係を壊しかねない「ゲイ」という存在に、敏感にホモフォビア

が向けられるのかもしれません。ゲイという存在が、性的なことに関わりがない

男性同士の場に、性を持ち込むことになるからですね。その点、初めからゲイである

という可能性を排除しているブロマンスというものが安心できるのかもしれません。

 「お前らホモじゃねえの」と言って仲がいい同性をからかうのも、ゲイではないよね

と確認することで、自分たちの居場所を守ろうとしているのだと思います。

 このブロマンスですが、ノンセクシャルとは「恋愛感情」という点で異なって

きます。多くの場合「好き」という感情は、「恋愛感情」と「性愛」の両方を

含めて「好き」です。(詳しくは以下の記事で)

www.life-amayadori.com

 そのため「恋愛感情だけしかないんだよ」と言ってもなかなか通じてくれないこと

の方が多いです。おそらくブロマンスは恋愛感情も許してはくれないでしょう。

 また、ノンセクシャルと似ているプラトニックラブも同様に、恋愛感情がある以上

ブロマンスには含まれないと思います。(プラトニックラブについてはこちらへ)

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 ただ、本質的には「その人自身を愛する」という点で一緒だと思います。

自分のことを理解してくれて、相手のために何かをしてあげたいと思う気持ち、

それを友情と呼ぶのか、恋愛と呼ぶのかの差だけであると思います。

 以下の記事でも述べていますが、友達としての「好き」と恋人としての「好き」は

とても曖昧なもので、完全には切り離すことができないものだと思います。

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 その反面、ブロマンスというのは完全に友達としての「好き」というものを

どこまでも延長させることができるのです。周りから恋人という目で見られることも

なく、あくまで友達としての関係が強固なものとして残り続けます。

 ある意味でブロマンスというのは、現実でありそうなのにファンタジーであり、

当たり前のようにみえて理想の関係でもあるのでしょう。そのニッチ(隙間)

埋めるものこそブロマンスなのだと思います。

 実際に、このブロマンスの要素が押し出された作品は、軒並み売れ行きが

いいようで、代わりに男女の恋愛ばかりを描いたものは、当たり外れが激しい

ようです。それだけブロマンスというものが恋愛と並ぶ、大切な要素の1つと

なっているのでしょう。ブロマンスについてあんまり意識していなかった、

言葉自体知らなかったという人は、少し意識してみると、また違った作品の

良さが見えてくるかもしれませんね。